X JAPAN メジャー3枚目のアルバム『DAHLIA』
リリース情報
収録時間:57分21秒(全10曲)
レーベル:アトランティック・レコード
プロデュース: YOSHIKI X JAPAN
売上枚数:64万1000枚
オリコンチャート最高順位:週間1位 1996年度年間55位 1997年度年間138位(オリコン)
制作エピソード
長期化したレコーディング
『DAHLIA』は1993年のX JAPAN改名後~1997年解散までの間に発表された唯一のオリジナルアルバムです。(※『ART OF LIFE』はミニアルバム扱い)
また、アトランティック・レコードからリリースした唯一のオリジナル・アルバムでもあります。
『DAHLIA』は元々、日本盤のほかに全英語詞の世界盤が発売される予定でしたが、TOSHIの英語発音の問題やYOSHIKIの持病によりレコーディングが長期化し、このアルバムでの世界デビューを断念せざるを得なくなったそうです。
シングルカットが多い事情
また、レコード会社との関係悪化による資金不足などが重なったためにX JAPANは1993年以降の録音作品を次々にシングルカットし、結果的に『DAHLIA』は全10曲中7曲がシングル曲になりました。
またYOSHIKIの持病悪化により、X JAPAN改名後の曲はかつてのようなハイスピードナンバーはなく、バラード曲が多くなっています。
アルバムレビュー
私がいちリスナーとして、アルバム全体を聴いた印象は以下の通りです。
・打ち込みなどデジタル色が強くなり時代を反映している。
・バラード曲の割合が多いため、激しさが中和されている。
・2つのHIDEの提供曲「SCARS」「DRAIN」により、HIDEの存在感を強く感じる。
・一曲一曲がより緻密に構築され、アルバムの全体の完成度が最も高い。
DAHLIA
(作詞・作曲:YOSHIKI 編曲:X JAPAN)(7:57)
YOSHIKIは「DAHLIA」を作るのに大変苦労して「大嫌い」と言っていたのに、いざ出来上がってみると「とても好きになった」とツンデレされているアルバムのタイトル曲。(笑)
アルバム先行で、13thシングルとしてリリース。
さらに深い考察や動画レビューは、「DAHLIA」 シングルレビューをご覧ください。
SCARS
(作詞・作曲:HIDE 編曲:X JAPAN)(5:06)
激しいギターにTOSHIのハイトーンが突き刺さるサウンドが特徴的。
そして歌詞が「HIDEがTAIJIを想って作った曲では?」とファンの間で囁かれている、気になる曲でもあります。
HIDEファン的にはHIDEのハモリが多いのが嬉しいです。
のちに16thシングルとしてリカットされています。
さらに深い考察や動画レビューは、「SCARS」 シングルレビューをご覧ください。
Longing 〜跡切れたmelody〜
(作詞・作曲:YOSHIKI 編曲:X JAPAN)(7:39)
前奏だけで泣ける、切なさと優しさが身に染みるバラード。
「Tears」と「Forever love」に挟まれて存在感が薄くなりがちだけど、もっと世に知られてほしい名曲。
アルバム先行で、11thシングルとしてリリース。
さらに深い考察や動画レビューは、「Longing~跡切れたMelody~」 シングルレビューをご覧ください。
Rusty Nail
(作詞・作曲:YOSHIKI 編曲:X JAPAN)(5:28)
代表曲の一つ。YOSHIKIが「POP色強すぎたかな?」と懸念していたけど、逆にそれが一般ウケして新たなファン層を獲得した曲。
2019年現在でも、TVやイベントなどでX JAPANやYOSHIKI登場の際にBGMとして流れるバンドの代表曲。
曲披露~解散前はライブ1曲目の定番曲でもあり、ファンにとっては色んな思い出が詰まった曲でもあります。
アルバム先行で、10thシングルとしてリリース。
さらに深い考察や動画レビューは、「Rusty Nail」 シングルレビューをご覧ください。
White Poem I
(作詞・作曲・編曲:YOSHIKI)(3:18)
もともとはYOSHIKI個人の音楽プロジェクト”Violet UK”(バイオレット・ユーケー)の曲だったというだけあって、今までのXの曲にはない新しい毛色の曲。
シンプルだけど美しく耳に残るメロディと、苦悩に満ちたYOSHIKIの語りがたまりません。(笑)
16thシングル「SCARS」のカップリングとして、ロブ・クラーリがリミックスした「White Poem I(M.T.A. Mix)」が収録。
さらに深い考察や動画レビューは、「White Poem Ⅰ」レビューをご覧ください。
※ドMなYOSHIKI様の芸術的SMショー(!?)動画は必見です。(笑)
CRUCIFY MY LOVE
(作詞・作曲・編曲:YOSHIKI)(4:36)
ボーカルとピアノ、ストリングスのみで構成された美しいバラード曲。
YOSHIKIが、1992年に起こったロス暴動を悲しみ「人種間の愛」を訴えた曲で、この曲を作った心境を以下のように話しています。
「これは気持ちがすごく落ち込んでる時に、”どうせなら、とことん落ち込んじゃえ”と思って、自分にとって痛い曲を作りたかったという……”何もかも全部終わっちゃえばいい”みたいな、そういう心境から作り始めて。で、すごくキレイなメロディーで、すごく残酷な詞を書こう、って。(後略)」
歌詞は当初海外版をイメージしていたため全て英語で書かれているのですが、以下の動画でYOSHIKI監修の日本語訳が紹介されていますので、参考にしてください。
Tears
(作詞:白鳥瞳、YOSHIKI 作曲:YOSHIKI 編曲:X JAPAN)(10:30)
YOSHIKIが亡き父を想って作った、その名の通り涙が溢れる感動的なバラード。
当アルバム収録の「Tears」は、シングル・バージョンにはなかった、YOSHIKIによる英語のモノローグが曲の終盤に挿入されています。
9thシングルとして発売され、バンド最大のヒット曲となりました。
さらに深い考察や動画レビューは、「Tears」シングルレビューをご覧ください。
WRIGGLE
(作曲:HEATH、PATA 編曲:HEATH)(1:25)
デジタル・ロックサウンドのインストゥルメンタル。
歴代の楽曲で、唯一作曲にHEATHが関わった曲。演奏はPATAのみ参加(プログラミングはHEATHによる)。
私の中では、次曲「DRAIN」のインストゥルメンタル的存在曲です。
DRAIN
(作詞:HIDE、TOSHI 作曲・編曲:HIDE)(3:28)
リズムが打ち込みなのでYOSHIKIが演奏に不参加、ギターを全てHIDEが弾いているためPATAも不参加という、演奏はTOSHIとHIDEとHEATHのみという珍しいトリオ曲。
「DRAIN」はHIDEのコーラスが際立つ曲なので、2008年のXJAPAN復帰後HIDEのテーマ曲みたいな扱いで毎回必ず演奏されていますね。HIDEの声が愛おしい・・・。
また、hideはzilch名義(レイ・マクヴェイ、ポール・レイヴンと共に結成したバンド)でタイトルを「WHAT’S UP MR.JONES?」に変えてカバーしています。
ボーカルがhideに変わって雰囲気がガラッと変わりますが、こちらもすごくカッコいい☆
zilch唯一のアルバム『3・2・1』はhideの死後1998年にリリースされたので知名度は低いのですが、hideの新たな魅力がわかる超カッコイイアルバムなので是非聴いてください。もちろん「WHAT’S UP MR.JONES?」も収録。
Forever Love (Acoustic Version)
(作詞・作曲・編曲:YOSHIKI)(7:54)
自民党のCM曲に起用されたことから、国民的に広く知られるXの代表的バラード曲となりました。
2019年現在でも、TVやイベントなどX JAPANやYOSHIKI登場の際にBGMとして流れますね。(あとは「Rusty Nail」「紅」の3曲がX JAPANの登場曲という印象)
「Forever Love」にはいくつかアレンジがあり、当アルバムのアレンジが最初の構想だそうです。
さらに深い考察や動画レビューは、「Forever love」シングルレビューをご覧ください。
(※LAST LIVEとHIDEの告別式で演奏される「Forever love」は、どちらも涙を誘います)
YOSHIKI、28年ぶりの写真集『XY』発売
音楽家としてだけでなく、日本人男性初の『VOGUE JAPAN』や『Numero TOKYO』の表紙など、ビジュアル&ファション面でも人々の熱視線を浴び続けるYOSHIKI・・・。
『XY』はハリウッドの一流のスタッフたちの手によってYOSHIKIの美しさが余すことなく詰め込まれ、ファッショナブルでモードな写真集に仕上がっています。
また、30分にわたるメイキングDVDには、撮影の様子や女性カメラマンMelanie氏を聞き手としたYOSHIKIの撮影直後の英語インタビューもたっぷり収録されていて、ファン必見の映像です。
写真集とメイキングDVDを収録した「豪華化粧箱」、あなたのご家庭にもおひとつどうぞ♥
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※これからhideの記事もどんどん書いていきたいと思います。hideちゃんLOVE☆
終わりに
『DAHLIA』アルバムレビューはいかがでしたでしょうか?
収録曲のほとんどがシングル曲で各曲の情報量が多かったので、まずは各曲のレビューを書いてから、まとめ記事という形でのアルバムレビューとなりました。
アルバム完成後のYOSHIKIが「混沌」という言葉を残した『DAHLIA』の世界に没入しましょう。