沢尻エリカ逮捕でキャストが川口春奈に変わり話題になった、大河ドラマ「麒麟がくる」の濃姫。
この交代劇により、濃姫の知名度がいっきに上がりましたね。
濃姫とはどんな人物だったのか、歴女の筆者が詳しく解説します。
濃姫が準ヒロインという重要な役の理由
濃姫ってどんな女性?
濃姫は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。美濃国の戦国大名である斎藤道三の娘で、織田信長の正室。 生年は天文4年(1535年)だが、没年は不詳。
『絵本太閤記』や『武将感状記』で登場する濃姫(美濃国の高貴な女性という通称)という呼び方が一般的ですが、他に於濃、帰蝶、胡蝶、鷺山殿という呼称も存在します。
ドラマでは「帰蝶」という役名もよく耳にします。ロマンチックで美人っぽい名前ですね。
斉藤道三の肖像画は普通のおじさんですが、若い頃は美男子だったそうで(司馬遼太郎の『国盗り物語』ではかなりのスケコマシだった)、その血を引いた濃姫も美人だったのではないでしょうか?
実は濃姫、信長と結婚する前、数え年12歳の時に人質同然の政略結婚で土岐頼純に嫁ぎ、翌年夫の死により実家に戻ってきています。
”気の強い姫君”エピソード
歴史好きの人なら、「濃姫は気の強い女性」というイメージがあるのではないでしょうか?
そう思われる理由は、以下の3つのエピソードからきています。
まずは、嫁入り前の全然微笑ましくないエピソードから。(でもこの話好き。)
濃姫が織田家に嫁ぐ時、道三は一ふりの懐刀を与え、こう言った。
「信長はうつけ者との評判の男である。まことにうつけ者であったならばこの刀で刺せ。」
それに対し、濃姫は、
「承知しました。ですが父上、もしかしたらこの刀は父上を刺す刀になるかもしれませんよ。」
「よく言った!!これぞマムシの娘だ!!」
次に、新婚時代らしからぬ、政略結婚ならではの穏やかでない話。
結婚1年後のこと。夜毎寝所を抜け出し暁に帰るという不審な行動を1か月も続けた信長に、浮気を疑う濃姫が問い詰めた。
すると、信長はこう答えた。
「美濃の重臣が道三に反旗を翻すことになっていて、首尾良く道三を殺したら狼煙があがる手はずなのだ。それゆえ毎夜、高台へゆき美濃に狼煙があがるのを待っているのだ。」
その言葉を聞いた濃姫は実家へ密書を送り危機を知らせたが、信長の話は嘘で、道三は2人の重臣(堀田道空、春日丹後守)を殺してしまった。
以上2つは後の創作と言われていますが、次に紹介する話は公家の山科言継の日記『言継卿記』によるもので、信憑性は高いといえます。
(信長と舅・道三の仲は良好だったが、道三が息子の義龍の謀反で殺された後、織田家と斉藤家の仲は急速に悪化。)
義龍が信長に負けて敗走後、信長が稲葉山城に入ると、城に残っていた義龍の妻が持つ壺をたいそう欲しがり、渡すように迫った。
義龍の妻は、「落城のごたごたで行方不明になりました。」と答えたが、信長は「嘘だ。」と納得しない。
義龍の妻が、「信じてもらえないなら死ぬしかありません。」と言うと、濃姫が呼応して「そこまで信じられないなら私も一族のものと自害します。」と言い出し、美濃の有力な武士たちも同調する動きを見せたので、結局信長が折れて諦めた。
これが事実なら、やはり濃姫は気の強い女性だったようですね。
ちなみに、同じく『言継卿記』には、同じ年に、「信長は壺の一件で、姑(濃姫の生母=小見の方)に会いに行くと言って出かけた」という記述も残っているそうで、なんだかんだいって濃姫に頭が上がらなかったのでは?とも思います。(笑)
濃姫と光秀はいとこだった!?
「『麒麟がくる』主役・明智光秀の正室は煕子(ひろこ)なのに、なんで信長の正室の濃姫が準ヒロインという重要な役どころなの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
光秀の父・光綱と濃姫の母・小見の方が兄妹で、光秀と濃姫はいとこだという説があります。
明智光秀については、出生~織田家士官までは史料が乏しく謎が多いのですが、「濃姫の縁故を頼って織田家に仕官したのではないか」という説があったります。
それくらいならいいのですが、私が今までで見かけた「光秀×濃姫」トンデモ話がこれ!!
2人は幼馴染
↓
お互い恋心を募らせる
↓
濃姫縁談のため光秀は身を引く
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濃姫が主君の正室になった後も想い続ける光秀
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信長は側室にうつつを抜かし、正室の濃姫をないがしろ
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嘆き悲しむ濃姫
↓
見るに見かねて光秀決意「信長を討つ!!」
↓
本能寺の変決行!!
いや~、ないないないない!!!!!
さすがに「麒麟が来る」でそんな展開はないと思いますが、光秀と濃姫は(人によっては)そんな妄想ができるくらいの仲なんです。
信長と濃姫の夫婦仲は?
濃姫についても史料が乏しく、謎が多く実像がはっきりしません。
信長との間には子どもがなく側室・吉乃が産んだ信忠を嫡男としましたが、濃姫は男児を産んでなかっただけで、女児を産んでいた可能性までは否定できませんね。
また、濃姫には「離縁説」「死亡説」「本能寺の変で信長と一緒に自害した説」など諸説ありますが、最近では「信長の正室として大事にされ、織田家の側室たちをしっかりまとめ、本能寺の変後も生き延びた」と言われていて、私もその説を支持します。(信じたい。)
「信長と共に本能寺の変で自害した」というのは、「国盗り物語」などのドラマの影響でできたイメージでしょう。
本能寺の変で信長は侍女たちに「女たちは気にせず逃げるがよい」と言い残したという証言が残っていますし、そもそも濃姫は本能寺にはおらず、蒲生賢秀が安土城から信長の子女・側室達を日野城に非難させているので、その中に含まれていたと考えるのが自然です。
また、本能寺の変のすぐ後に書かれた「織田信雄分限帖」という文献に「安土殿」と呼ばれる一人の女性が出てくるのですが、これが濃姫である可能性が高いと言われています。
この推測が正しければ濃姫は80歳近くまで生きたことになり、信長亡き後はその菩提を弔いながら静かに余生を過ごしたのではないでしょうか。
濃姫について史実に忠実に書いた小説『帰蝶』がオススメです。作者の諸田氏は信長が嫌いだそうですが・・・。(汗)
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私は信長ファンなので、信長ゆかりの地を色々訪れています。
信長ファンの方もそうでない方も楽しめる記事になっていますので、どうぞご覧ください。
終わりに
大河ドラマ「麒麟がくる」における濃姫の重要性、また濃姫のエピソードはいかがでしたでしょうか?
しっかり予習して、「麒麟が来る」を楽しくご覧くださいね。
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