2021年正月の熱海旅行記事第四弾(三島も含めれば第五弾)は、起雲閣です。
「起雲閣」と聞いても、なかなかピンと来ない人も多いのではないでしょうか!?
それでは、起雲閣レポートをどうぞ。
起雲閣 朝ドラ「花子とアン」のロケ地 太宰治も逗留した建物
起雲閣とは?
起雲閣は1919年(大正8年)に別荘として築かれ、岩崎別荘(※非公開)、住友別荘(※現存せず)と共に「熱海の三大別荘」と賞賛された。
「起雲閣」は、大正から昭和にかけて3人の富豪と共に歴史を歩んだ。
内田信也時代 1918年(大正7年)年~1925年(大正14年)
根津嘉一郎時代 1925年(大正14年)年~1944年(昭和19年)
桜井兵五郎時代 1947年(昭和22年)年~1999年(平成11年)
1947年(昭和22年)桜井兵五郎が建物と土地を取得し「旅館・起雲閣」として開業。
山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、舟橋聖一、武田泰淳などの文豪たちに愛されてきた。
2000年(平成12年)から、熱海市の指定有形文化財として一般公開されている。
NHKの朝ドラ「花子とアン」のロケ地では、九州の石炭王である嘉納伝助の屋敷として使われて話題に。
起雲閣へは”湯~遊~バス”で行こう
車を運転しない旅行者が熱海観光するのなら、東海バスの”湯~遊~バス”がオススメです!!
湯~遊~バスは一日乗り放題なので、チケットを失くさないよう気を付けてくださいね。
熱海市内の主要観光地をバスで回ることができるので、土地勘のないビギナー旅行者も安心♥
また、湯~遊~バスのチケット提示で、各観光施設の入場料割引の特典も受けられるんです!!
※施設休館日および水曜日は販売していません。
受付のスタッフは、湯~遊~バスの使い方や熱海駅のバス乗り場、発車時刻などを丁寧に教えてくれました。
湯~遊~バスは黄色くて目立つのでわかりやすいです♪
表門・麒麟・大鳳
熱海城や秘宝館を見た後、「熱海城」停留所から湯~湯~バスに乗り、「起雲閣西口」で降りました。
バスを降りる時に運転手さんが起雲閣の行き方を説明してくれて、大変ありがたいです。
少し歩くと、すぐに表門が見えてきました。
表門は1919(大正8)年に創建された薬医門(やくいもん)とよばれる造りで、鎌倉時代末期・室町時代初期の武家または公家の屋敷などに現れた門形式のひとつ。(後に城郭や寺社などにも使われるようになった)
ワクワクしながら門を潜ります。
石畳の緩やかな階段を上ると、右に蔵、左に入口らしき建物がすぐ見えました。
入口でパンフレットを受け取ります。
この建物は1階が麒麟、2階が大鳳という名で、ここから時計回りに見て行くのが順路のようです。
入場料を払い受付を済ませると、まずは麒麟から見学開始。
あの時代ならではの格子模様のガラスから、広い庭が見渡せます。
これだけで「来て良かったな。」と感動してしまう私・・・。
昨日行った、三島の楽寿館の景色が思い出されました。
廊下を左に曲がると、隣接する玉姫のサンルームに目を奪われる・・・。
床の間もじっくり見学しました。
目が覚めるようなコバルトブルーの壁がなんとも印象的。
ひときわ目を引く群青色の壁は、旅館となってから塗り替えられたもの。
「加賀の青漆喰」と呼ばれる石川県加賀地方の伝統的な技法で、旅館を開業した「桜井兵五郎」が石川県の出身であったため、これを取り入れたといわれている。
次に階段を上り、2階の大鳳へ。
2階からの庭園の景色に、またまた感動・・・。
この時代独特の、ガラスの歪みがまたいいんですよね。
2階からだと、庭を俯瞰して見られるのがまたいい。
紅葉とか雪景色とか、すごく趣がありそうです。
障子を照らす西日の格子模様がオシャレですね。
チェックみたいで、ここだけモダンな感じがします。
裏の格子がどうなってるのか気になって、裏側を見に行っちゃいました。(笑)
ガイドさんの説明では、昭和23年3月、ここ大鳳の間に太宰治と山崎富栄が2泊したそうです。
あの玉川入水から3ケ月前のことだったそうですが、二人はここでどんな時間を過ごしたんでしょう・・・!?
玉姫・玉渓
渡り廊下を通って、お次は玉姫へ。
この建物は、二代目の持ち主根津嘉一郎により、1931(昭和6)年着工、1932(昭和7)年に完成しました。
玉姫の間はパーテーションで仕切られていて入れませんが、注目すべきは併設のサンルーム!!
サンルームの名のとおり、採光のため天井とともに屋根もガラスで葺かれていています。
玉姫の間に併設されたサンルームは、大きな窓と、色鮮やかなタイルの床が特徴です。
ステンドグラスの天井が何とも鮮やか。
こちらが玉渓の間。
玉渓は中世英国の「チューダー様式」に「名栗仕上げ」を取り入れたヨーロッパの山荘風の造りになってるそう。
気になる方は実際に足を運んでみて、その目で確かめてください。(笑)
展示室
展示室は「いかにも元旅館の部屋」という造りで、起雲閣ゆかりの作家紹介コーナーとなっていました。
ガラス戸には、小説家で僧侶の武田泰淳の名と文が刻まれています。
旅館時代の起雲閣の資料公開。
尾崎紅葉を紹介する部屋は、紅葉の名に合わせて赤色でした。
尾崎紅葉ルーム(勝手に命名)から外を眺めると目の前が池でVIPルームなんじゃないかと思ってしまう。(笑)
ガラス戸には、金色夜叉の一節が見られました。
金剛
金剛は根津嘉一郎により、1928(昭和3)年に着工、翌1929(昭和4)年に完成、その後、何度か改築されています。
金剛では、暖炉上方のスペード、ハート、ダイヤ、クラブを象った模様をはじめ、草花の模様などが、洋館では大変珍しい螺鈿細工によって施されています。
ローマ風浴室
ローマ風浴室は洋館「金剛」に併設されています。
2015年2月~3月末まで改装工事があったため綺麗でしたが、ステンドグラスの窓やテラコッタ製の湯出口などは建築当時の物だそう。
孔雀
この建物は、1918(大正7)年に着工し、翌1919(大正8)年に完成した「内田信也」の別荘の一部です。
庭に独立して建てられていて、いかにも「離れ」という言葉がピッタリのお部屋。
色んなバリエーションの部屋を見た後なので「純和室」という以外これといった印象は残っていないのですが・・・。
「1992年12月、谷川浩司竜王と羽生善治王座の対局が行われた場所」というエピソードに少し反応しました。(この対局は谷川竜王が勝利)
喫茶室やすらぎ
起雲閣は広大な敷地なので、一回りするとだいぶ疲れました。
麒麟に併設されている喫茶やすらぎでティータイム。
旅館時代Barスペースだったところが喫茶室になっていて、美しい庭を眺めながらお茶を楽しむことができます。
メニューを見て、私たちはここにしかなさそうな起雲閣ブレンド珈琲や、熱海紅茶をオーダーしました。
全然知らなかったのですが、「熱海だいだい」はここの特産品なんだそう。
だいだいマーマレードと一緒に飲む紅茶はとても美味しかったです。
蔵・庭園
喫茶室を出ると、向かいに建つ蔵へ行ってみました。
蔵ってなんかすごく好きなんですよね~。
もう暗くなってきましたが、最後の気力を振り絞って庭散策に向かいます。
こちらは池泉回遊式という庭園で、敷地内の各建物、各部屋のどこから眺めても快適な庭となるように設計されているのだとか。
早咲きの梅に癒されました。
真ん中辺りまで歩いて、後ろを振り返った図。
本館(1階麒麟・2階大鳳)を正面から眺めてみました。
感想
「なんでこんなにモダン建築が好きなんだろ~?」と前から思っていた私。
この度起雲閣を訪問してみて、「明治・大正・昭和初期の邸宅は、日本、中国、欧州各国の装飾や様式を融合させた独特の雰囲気を持ってるから」ということに気付きました。
和室はもちろんのこと、普段なかなか見かけない暖炉や、ステンドグラスが美しいサンルーム、今でも入りたくなるローマ式浴室など、同じ敷地内で色んな部屋を楽しめて大満足です♪
起雲閣は何度も存続の危機がありましたが、地元住民の運動により2000年(平成12年)に熱海市の観光施設となったという経緯があります。
概要
所在地:静岡県熱海市昭和町4-2
電話番号 :0557-86-3101 (起雲閣)
営業時間 :9:00~17:00(入館は16:30迄)
定休 :毎週水曜日(祝日の場合は開館)・年末
料金 :大人610円(団体の場合460円)・中高生360円(団体の場合240円)・小学生以下無料
駐車場 :37台 ※大型バスは不可
駐車料金:無料
アクセス :JR熱海駅より相の原方面行きまたは起雲閣循環バスにて約10分→起雲閣前下車
熱海市の起雲閣ホームページ:https://www.city.atami.lg.jp/kiunkaku/index.html
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終わりに
熱海の起雲閣レポ、いかがでしたでしょうか?
熱海の中ではまだまだ知名度の低いスポットかもしれませんが、歴史的価値のある建物なので是非行ってみてくださいね。
次回は、熱海グルメまとめ記事を書きます。