今回は、ぐるっとパス持参で無料で見学できる東洋文庫ミュージアムについてレポートします。
2018年7月1日(土)に行った時の記事です。
東洋文庫ミュージアム
東洋学の専門図書館ならびに研究所
東洋文庫の歴史は、1917年に三菱財閥第3代目当主岩崎久弥が、当時中華民国の総統府顧問を務めていたジョージ・アーネスト・モリソンの所蔵する膨大なコレクション(モリソン文庫)を購入したことから始まります。
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東洋文庫は、広くアジア全域の歴史と文化に関する東洋学の専門図書館ならびに研究所で、世界5大東洋学研究図書館の一つにも数えられています。その蔵書数は国宝5点、重要文化財7点を含む約100万冊に及びます。
総評
感動レベル☆☆☆☆ 圧倒的な大きさの書庫に圧倒される。展示も興味のあるものばかりで、飽きませんでした。
リーズナブル度☆☆☆ ぐるっとパス持参で無料、ないと900円です。
空いてる度☆☆ 他の人が気にならないくらい空いてました。
撮影自由度☆☆☆☆☆ 撮影自由でバシャバシャ撮ってしまいました。
子連れも楽しめる度☆ ちょっとお子様には退屈かも。文学や歴史に興味を持ってる小学校高学年くらいからならいいかも。
体験記
東洋文庫ミュージアムを選んだ理由
前の記事にも書いた国立近代美術館と国立近代美術館工芸館に行った後16:30くらいで、「ぐるっとパスで遅い時間まで空いてる施設ないかな?」と探してみたら、東洋文庫ミュージアムが19時まで開館していること、ぐるっとパスで900円の入場料が無料になるのでお得感が大きいこと、展示内容も興味のあるものだったので行くことにしました。
ハリーポッターに出てきそうな書庫も見てみたいと思ってました。
東洋文庫ミュージアムへの行き方
国立近代美術館から向かったので、東京メトロ東西線竹橋駅で電車に乗り、飯田橋駅で南北線に乗り換え、駒込駅で下車。2番出口を出て六義園を右に歩き、上富士前交差点を右に曲がり昭和小学校と駒込警察署の間に東洋文庫ミュージアムがあります。徒歩8分ほどで着きます。(他に、都営三田線千石駅から徒歩7分で行く方法もあります)
安政五カ国条約と近代日本の国際文化交流
安政5年(1858年)日本は、日米修好通商条約、日蘭修好通商条約、日露修好通商条約、日英修好通商条約、日仏修好通商条約と五か国と条約を結び開国しました。ここから長年の鎖国の時代は終わり、海外の文化の風が日本に押し寄せるのです。また、海外にも日本の文化が伝わり、様々な影響を与えたのでした。
『日米友好通商条約』 すべてはここから始まった。
『佛語明要』 村上英俊編 日本初の本格的な仏和辞典。
『トバエ』ジョルジュ・ビゴー フランス人漫画家が描いた風刺画。
『日本の花の芸術』ジョサイア・コンドル著
コンドルは明治期日本での西洋建築の設計で有名ですね。コンドルは日本滞在中に日本文化に親しみ、本書では華道の作法を英語で解説しています。木版画は尾形月耕によるものです。
『日本の庭園術』ジョサイア・コンドル著
コンドルは西洋建築を日本人に教えるだけでなく、自身も日本庭園の構造を分析したりして、日本の文化を母国に紹介しようという思いがあったようです。
『源氏物語』キク・ヤマタ著
本書は『源氏物語』の仏語翻訳本として最も古いものです。キク・ヤマタは日本人の父とフランス人の母の元に生まれ、幼少期に15年ほど日本で育ち、後年パリで作家として活躍した人物だそうです。
モリソン書庫「極東学院とフランス東洋学」
日仏160周年を記念して、フランス東洋学の歴史的な業績に関する資料を展示しているそうです。
『インドシナ探検行』F.ガルニエ著 L.トラボルト画
本書はフランス海軍が1866年から1868年にかけて実施したインドシナ(現在のベトナム・ラオス・カンボジア)の探検記録です。
『アンコール紀行』トラボルト著
1873年の本にアンコールワットが載ってるのは感動的ですね。
『法寶義林』シルヴァン・レヴィ、高楠順次郎監修、ポール・ドミエヴィル編集主幹
フランス語による仏教用語大辞典。写真の絵は曼荼羅でしょうね。
「記録された記憶-東洋文庫の書物からひもとく世界の歴史-
『土佐日記抄』北村季吟
「男のすなる日記といふものを 女もしてみむとてするなり」は国語の教科書でお馴染みですよね。あれ、紀貫之じゃないの?と思ったら、これは江戸時代に書かれた注釈書だそうです。
『日本昔噺』(ドイツ語版)長谷川武次郎 発行
「ちりめん本」と書かれてあり、実際に見るとちりめん状に加工された紙でできてるのがわかります。本来は日本人の子どもが外国語に親しめるようにと作られたそうですが、外国人のお土産として人気になったらしいです。それで日本の昔話を知ってもらえるならいいと思います。
『花咲じいさん』
『舌切り雀』
『さるかに合戦』
『地震風刺絵』
1855年発生した安政江戸地震の直後、「鯰絵」という浮世絵が出版されたそうです。今でも聞いたことありますが、なぜ鯰なんでしょうね?
企画展「悪人か、ヒーローか」
歴史上の人物って、当時の政情などによって英雄になったり悪者にされたり見方が変わりますよね? 当展示では、古今東西様々な人物の記録を集め、彼らの虚像と実像に迫ります。
『義経記』
「判官贔屓」なんて言葉があるくらい、日本人に愛されている源義経の伝記。この場合の「悪人か、ヒーローか?」は兄の源頼朝について言っているようですね。
『信長記』小瀬甫庵
私は小学生の時歴史を習ってから今でも一番信長が好きです。
織田信長の伝記といえば、家臣の太田牛一が書いた『信長公記』が有名ですが、江戸時代それに脚色を加えて出されたものが『信長記』です。この絵は、比叡山焼き討ちの様子を書いている模様。
『石川五右衛門』富川房信
石川五右衛門が実在の人物であり、盗賊団の首領として処刑された話は当時のイエズス会の宣教師の記録などから確かだと考えられています。ただ、実態は謎に包まれ、歌舞伎や浄瑠璃のイメージが人々に強く残っているようです。絵はあまりにも有名な釜茹での刑”五右衛門風呂”のシーンですね。
『春日局』
徳川家光の乳母で大奥を確立した人だけでなく、会社のボス的OLを「お局」というのもここからきているという、現代にも影響を及ぼしている女性ですね。
オリエント・カフェ
館内に併設されている「オリエント・カフェ」がとても素敵なので、また近くに行く機会があれば是非行ってみたいです。
ミュージアムからカフェに続く、中庭を望める通路。
カフェ外観。
概要
住所:東京都文京区本駒込2-28-21
電話番号:03-3942-0280
開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)
休館日:火曜日(祝休日の場合は開館し、翌平日休館)年末年始、展示替期間、その他臨時に休館することがあります。
アクセス:JR・東京メトロ地下鉄南北線駒込駅より徒歩8分 都営地下鉄三田線千石駅より徒歩7分
公式HP: https://www.toyo-bunko.or.jp/
感想
撮影OKなので写真を撮りまくり、中国の史実に即した興味深い資料等もたくさんあったのですが、量が多いので日本人に馴染み深いものを中心に当ブログでは載せました。建物が新しく中の雰囲気もとてもいいのでデートにも最適だと思います。
次回は、北区飛鳥山博物館をお送りします。