今回は、工藤静香の6thシングル「恋一夜」と7th「嵐の素顔」をご紹介します。5th「MUGOん・・・色っぽい」で各チャート1位制覇という記録を成し遂げた静香、これからどう進化していくのでしょうか?
工藤静香 6th&7thシングル曲
まずは、素晴らしい曲を提供してくれている作詞家と作曲家の紹介からどうぞ。
2人の作詞家
6th「恋一夜」は、3th「抱いてくれたらいいのに」と同じ松井五郎。
7th「嵐の素顔」は、1stアルバムから作詞提供していたけれどシングル曲としては初参加の三浦徳子(よしこ)です。
工藤静香の曲で女性作詞家といえば中島みゆきが印象に残ってますが、三浦徳子はどんな詞で新しい歌の世界を広げてくれたのでしょうか?
作曲:後藤次利
作曲は、お馴染みの後藤次利です。
歌手・工藤静香についてのインタビューで、「最初から、彼女の音域とか、手加減するとか、一切考えないで作れたんですね。こっちが100%力出しても、工藤静香はちゃんと応えてくれる。まだ10代だったのに……。」と、彼女の歌唱力を高く評価し、作曲への力の入れようを語っていますね。
各曲紹介
前曲「MUGOん・・・色っぽい」で、歌姫の頂点に立った工藤静香ですが、この後も快進撃は続きます。次にリリースされた「恋一夜」と「嵐の素顔」を当時の映像と共にご紹介します。
6th「恋一夜」
か、可愛い・・・。大人っぽいけど、まだ19歳。
成績
88.12.28リリース。60.7万枚。オリコン週間1位。ザ・ベストテン1位。歌のトップテン1位。
前作で頂点を極めた「MUGOん・・・色っぽい」を上回る好成績。後の自身最大のヒットシングル「慟哭」(1993年)に次ぐ売上枚数を誇っています。2回目の紅白歌合戦にも出場。「箱根彫刻の森美術館」のイメージソング。
2019年(令和1年)のコンサートで工藤静香が「平成初のオリコン1位の曲ということで、『恋一夜』を(コンサートで歌う曲に)選びました。」と言ってたくらい、記録にも記憶にも残る曲ですね。(年末も1位を獲得していたので、昭和と平成を跨いで1位を取った曲といえます)
曲解説
「恋一夜」は、”こいひとよ”と呼びます。
私はこの曲は「抱いてくれたらいいのに」続編だと思っていて、「抱いてくれたら・・・」では、好きな年上の男性(彼女持ち・既婚者・もしくは遊び人)にちょっかいをかけながらも子供扱いして抱いてくれないことに不満を持っていた少女が、「恋一夜」では成長して女性になり、遂にその願いは叶えられたけれど、喜びの半面、ここから深みにはまることへの恐怖を歌っているのではないかと勝手に分析。
当時は小学生だったので「濡れた髪を見せることを、なんでこんな悲しそうに歌うんだろう」と思うレベルで、歌詞の世界は、サビさながら「わからない わからない」状態でした。でも、女の情念とか業の深さなんかは子供ながらに伝わってたと思います。
1989年の紅白歌合戦より。他の歌番組は衣装がオミズっぽかったので、ドレスが綺麗なこの映像を選びました。実はこの時風邪をひいていて発熱を押して歌っていたそうです。
松井五郎による大人っぽい詞は、工藤静香が当時一番心を揺さぶられた詞だったと後に述懐していて、そのドキドキを抑えるため無意識にお腹に手を当てながら歌うことで緊張を凌いでいたそう。
2014年渡辺有三氏の葬儀の弔辞。2:14から「恋一夜」のエピソードについて語っています。当時プロデューサーだった渡辺氏に「サビの部分のキーが高いから低くしてほしい」と訴えたら、「俺は静香の苦しそうな高音が好きだから頑張って歌って」と言われて、以来キーは下げず渡辺氏の好きなキーで歌い続けているそうです。
7th「嵐の素顔」
20歳になりました。カーテンをめくる動きのあるジャケットがGood!!
成績
89.05.03リリース。52.4万枚。オリコン週間1位。ザ・ベストテン1位。歌のトップテン1位。
セールスは若干落ちたものの、相変わらず各チャート1位を総ナメにし、頂点に君臨し続けてます。
曲解説
失恋のショックから、「空が落ちればいい」「海が割れればいい」と神話レベルの天変地異表現が大げさですが、激しいサウンドと力強い歌唱で納得させられてしまうのが面白いところ。
「風車の赤いサイン」「海が見えてきたわ」「ジェットが飛ぶ」など場面描写が随所に散りばめられ、主人公のストーリーを膨らませる効果があっていいと思います。
1:20~が、工藤静香のモノマネとして多用される例のL字振り付けで、本人が「手話でもこれをやれば公式に「(全国の)工藤さん」という言葉になった。」と言ってました。「嵐の素顔」の影響力、恐るべし。
ポニーテールに大きなリボンというアイドルっぽさと、ケバさを融合した衣装が面白い。(他の映像はいかにもバブルっぽいボディコンねーちゃん風でした)
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終わりに
「恋一夜」と「嵐の素顔」のレビュー、いかがでしたでしょうか?
ソロデビューからたった1年で日本の歌謡界を席巻した工藤静香。この後もヒット曲に恵まれ、全盛期は続きます。次回もその軌跡を追っていきます。
「恋一夜」「嵐の素顔」を聴きたい人にお薦めのアルバム。この2曲のA・B両面に加えて、他に次のシングル「黄砂に吹かれて」の両面、今までのアルバムから選ばれた曲が入っています。
普通にシングルベストが欲しい方はこちらをどうぞ。